代表的なロボット支援下手術・腹腔鏡下手術

泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科

腹腔鏡下手術

*お腹の中を二酸化炭素で(気腹)膨らませてモニター下に鉗子を使ってお腹の中で手術をします。開腹手術に比較して出血量が格段に少なく手術後の回復も劇的に早くなります。

ロボット支援下手術

*立体的な3D HDの手術画像により、開腹手術では現実には不可能な術野の展開がロボット支援下手術では可能となります。術野では実際に手を入れて操作しているような視野の確保が可能となります。

3D HD高倍率視野.jpg

*ロボットアームに装着されている鉗子を操作することで極めて安定した精密な手術が可能です。

*より精密な手術を可能にするダヴィンチXi手術

代表的な手術

(1)前立腺癌に対するロボット支援下前立腺全摘除術

前立腺は男性のみに存在する生殖器膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在しますが、生活様式の欧米化に伴い本邦でも前立腺癌が急増しています。多くの早期前立腺癌の患者さんは、ほとんど症状がなく血液中のPSA(前立腺特異抗原)高値で発見されます。ロボット支援下前立腺全摘除術はお腹に小さな穴をあけてお腹の中で開放手術(下腹部(臍下〜恥骨まで)の切開を行う)と同様の手術を行います。従来の開腹手術に比較し、より精密な手術操作が可能なため術中術後の合併症が少ない、出血量が少ないなどの多くの利点が報告されています。当科ではこれまでに男性機能の温存を目的とした勃起神経温存を多数の患者さんに施行しています。

(2)腎腫瘍に対するロボット支援下手術

腎腫瘍に対し、腎臓を摘出する、あるいは腎臓を部分切除する手術です。当科では小径(7cm以下)の腎腫瘍に対する標準術式はロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術です。

(3) 腎盂癌・尿管癌に対するロボット支援腎尿管全摘除術

腎盂癌・尿管癌は癌が多発する傾向にあり、部分的に尿管を残すと術後高率に再発を来してしまうため腫瘍の部分だけ摘出するのではなく患側の腎臓と尿管を全て摘出するのが標準術式とされています。リンパ節や他の臓器に転移のない症例にはお腹の中で腎臓を遊離し、下腹部に小切開を加えて腎臓から下部尿管までをすべて摘出するロボット支援腎尿管全摘術を行います。

(4)膀胱癌に対するロボット支援下膀胱全摘除術

膀胱は尿を貯める臓器で、膀胱癌は主に痛みのない血尿(無症候性肉眼的血尿)を主訴に発見されます。膀胱癌は、膀胱の粘膜から発生する癌で癌が膀胱の粘膜にとどまっている場合は尿道から内視鏡を挿入して腫瘍を切除する経尿道的手術が一般的ですが、癌細胞が膀胱の筋肉の層まで浸潤する浸潤性膀胱癌には根治性を得るために膀胱を全摘除する必要があります。開腹手術は腹部に大きな皮膚切開が必要ですが、ロボット支援下膀胱全摘除術はお腹に小さな穴をあけてお腹の中で開腹手術と同じ手術を行います。

(5) 副腎腫瘍に対するロボット支援下副腎摘除術

副腎は左右の腎臓の上に各1個ずつ存在する小さな内分泌臓器です。ステロイドホルモン、性ホルモン、血圧を上げるアドレナリン、ノルアドレナリン、アルドステロンなどを産生します。副腎に腫瘍が発生しこれらのホルモンを必要以上に産生すると高血圧や糖尿病、多毛などの症状を呈します。また、ホルモンを分泌しない腫瘍でも腫瘍径の大きな場合(3cm以上)は悪性腫瘍を伴っている場合があります。副腎に発生したこのような腫瘍をロボット支援下に摘除します。

(6)腎盂・尿管の狭窄に対するロボット支援下腎盂形成術

腎臓で産生された尿が腎盂、尿管、膀胱へと運ばれますが、腎盂と尿管の移行部(腎盂尿管移行部)が先天性の狭窄や血管により圧迫されて、尿が腎盂から尿管にうまく運ぶ事が出来ないために腎臓がはれる状態(水腎症)で時に痛みが出現します。このような状態に対しロボット支援下に(お腹の中で)狭窄部の尿管を摘除し再吻合します。

(7)膀胱尿管逆流症に対する腹腔鏡下膀胱内手術

腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に貯められますが、正常では膀胱に貯まった尿が腎臓や尿管へ逆流することはありません。膀胱尿管逆流症は尿管と膀胱のつなぎめの異常により、排尿時に膀胱から体外へ排出されるべき尿が腎臓や尿管へ逆流する病気で腎臓の機能低下や腎盂腎炎を繰り返します。膀胱尿管逆流症に対する手術は、尿管と膀胱のつなぎめの異常を治す必要がありますが、腹腔鏡下膀胱内手術は下腹部に小さな穴をあけて腹腔鏡を用いて従来開腹手術で行っていた同じ手術を膀胱内で行います。