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2)腎細胞癌
腎臓は血液を濾過し、尿を生成する臓器です。腎実質から生じた癌が腎細胞癌であり、尿路である腎盂から生じた癌は腎盂癌といい両者は区別されます。発生頻度は人口10万人あたり9人前後で、男女比はおよそ7:3です(全国がん罹患データ(2016年~2018年))。
早期の癌では症状がないことが多く、進行した癌では血尿や腹痛、腹部腫瘤を自覚され発見されることがあります。近年はCT検査の機会が増加し、早期発見されるケースが増えています。
腎臓に限局した(転移のない)腎細胞癌の治療の基本は外科的摘除で、いわゆる抗癌剤や放射線治療は効果が低いと考えられています。進行例に対しては外科的摘除に加えて補助療法として分子標的薬や、新規免疫治療薬などの免疫療法による治療を検討します。
最先端技術を駆使した腎細胞癌に対する診断と治療
1.最先端技術の画像検査
腎細胞癌の診断には造影剤を用いたCT検査が有用で、他の臓器への転移の有無を確認します。当院ではダイナミックCT画像をもとに3D画像(下図)を作成し、患者さんへの説明や手術時のシミュレーションに活用しています。
2.手術療法
腎臓に発生した腫瘍を確実に体内から完全に摘出することが目標です。この手術には色々な方法がありますが、患者さんの状態、腫瘍の大きさ、腫瘍の位置などで決定します。近年は画像診断の進歩によって早期癌が増加しており、腎臓癌に対する手術全体の90%以上を占めています。それぞれの患者さんに応じ癌の根治性と腎臓の機能温存を考慮し、ベストと考えられる術式を決定しています。
①ロボット支援手術
7cm以下の腎臓がんにはロボット(ダヴィンチXi)支援下腎部分切除術を標準術式としており、小さな腎臓がんに対する腎部分切除術では術後の腎機能は良好に温存され、再発率は低く良好な結果を得ています。これまでのわれわれの実績では手術から退院までの日数は7日、開腹手術への移行は0%、輸血も0%です。
②開腹術
お腹を切って、腎臓の血管を処理してから、腎臓の周囲を剥離する手術です。極めて大きな腫瘍や転移などを有する進行期癌を適応にしています。
3.薬物療法
①分子標的薬
摘除不能な腎細胞癌や転移性腎細胞癌に対する治療法で高い治療効果が得られる反面、副作用も多いため慎重な投与が必要です。当科での治療経験数は国内でもトップクラスであり、その実績を国内・海外へ発信しています。
②新規免疫治療薬immuno-oncology drug(I-O drug)
摘除不能な腎細胞癌や転移性腎細胞癌に対し、がんに対する免疫によりがんの進行を抑える治療として免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(オプジーボ)、イピリムマブ(ヤーボイ)、キートルーダ(ペンブロリズマブ)、アベルマブ(バベンチオ)などによる新規治療も積極的に行なっています。
これまでは治療が難しかった未治療の進行または転移性腎細胞がんにおいてさまざまな最先端医療も可能です。