18)精索静脈瘤(男性)

泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科

精索の静脈(つるじょう静脈叢)が怒張し、その程度が強い場合は陰嚢に怒張した血管をみとめます。陰嚢痛を訴えることもあります。80〜90%は左側に生じ、思春期以降に多いのですが小児にもみられ、男性不妊症の原因になることもあります。左側の精巣静脈は右に比べて長く、左の腎静脈へと合流していきますが、還流障害が生じて静脈血が停滞・逆流すると、精索静脈がこぶ状に拡張してきます。その原因としては、静脈弁の先天性不全や左腎静脈が上腸間膜動脈により圧迫されることが想定されています。静脈のうっ血により陰嚢内の温度が上昇して、精巣の発育不全、精子の形成不全を引き起こし、男性不妊症の原因になると考えられています。陰嚢の頭側に柔らかい腫瘤を触れたり、陰嚢や鼠径部の疼痛を訴えることもあります。数分間立位にして腹圧をかけると腫瘤が明瞭になります。程度が進行すると患側の精巣が小さくなります。アイソトープを使った診断法もあります。

治療は静脈瘤の原因となっている血管の結紮を行います。疼痛が強い場合、精巣のサイズが小さい場合、男性不妊症の原因と考えられる場合には手術の適応と考えています。思春期でも精巣の大きさに差がある場合は、将来の不妊を予防するため手術の適応と考えられています。この病気は男性不妊症患者の25〜30% にみられます。