核医学検査

放射線技術部

核医学検査とは

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核医学検査とはRI検査とも呼ばれ、特定の臓器や組織に集まりやすい性質を持った放射性医薬品を用いて、そこから放出される放射線をガンマカメラと呼ばれる機械を用いて画像化することで、体内の様子を調べる検査です。
CTやMRIなどの検査は主に臓器の形態や異常を調べるのに対し、核医学検査は投与された放射性医薬品の分布やどれくらい集まったか、経時的変化の情報から形態だけではなく、機能や代謝状態などを評価することができます。形態が変化するよりも先に機能や代謝状態は異常を呈するため、病気の早期発見につながる可能性もあります。
当院で行っている核医学検査として、SPECT検査とPET検査がありますので、それぞれがどういった検査かをご紹介します。

SPECT検査

ガンマカメラという2つの検出器で構成され、2方向で計測を行い放射線の信号を得ることができます。ガンマカメラを回転しながら撮影することで、断層画像を得ることができ、当院のSPECT装置にはCTも撮影できるため、ガンマカメラで得た画像とCTで得た画像を重ね合わせることで分布をより分かりやすく表示することができます。
体内から放出された微量な放射線を計測して画像化するため、十分なデータを得るためにCT検査と比較すると撮影時間が長くなってしまいます。
また、検査によっては放射性医薬品を体内に注射してから目的部位に集積するまでに時間を要することがあり、注射後すぐに検査を行えないこともあります。

SPECT検査

代表的なSPECT検査

骨シンチグラフィ

骨シンチグラフィ検査は全身の骨を1度の検査で調べることができます。
骨造成を反映する検査であり、がんが骨へ転移しているかどうかを検出するのに頻繁に利用されます。また、微小な骨折や骨隨炎・関節炎などの診断にも使われます。
骨シンチグラフィ

腎動態シンチグラフィ

腎臓への血液の流れや、濾過能力などの腎臓の働きを調べる検査です。 この検査では検査薬が腎臓に集まりそこから尿管を通り、膀胱まで排泄される様子を経時的に画像でとらえることができ、腎臓から膀胱までのなかでどこに原因があるのか、腎障害はどの程度かを視覚的に確認することができます。
また左右の腎臓の検査薬の集まり具合をグラフ化(レノグラムカーブ)し左右それぞれの腎臓の機能を調べることができます。

腎動態シンチグラフィ
腎動態シンチグラフィ

センチネルリンパ節シンチグラフィ

乳がんの患者さんの手術前に行う検査です。乳がんのがん細胞はリンパの流れに沿って最初に到達した、癌に一番近いリンパ節(センチネルリンパ節)を通り全身に広がる性質があります。このセンチネルリンパ節がどこにあるかを調べる検査です。
センチネルリンパ節シンチグラフィ

心筋シンチグラフィ

心筋へ流れる血液の量や心筋の機能を画像化する検査です。
心臓に負荷をかけて撮影する負荷心筋シンチでは、負荷をかけた状態とかけていない通常の状態の2回撮影を行い、それぞれの画像の差を見て評価を行います。
負荷をかけた場合に検査薬が十分に集まらず、かけていない場合に集まった場合、虚血が疑われ、負荷をかけた時、かけていない時両方で検査薬の集まりが悪い場合は心筋梗塞の可能性が疑われます。

心筋シンチグラフィ
心筋シンチグラフィ
心筋シンチグラフィ
心筋シンチグラフィ

脳血流シンチグラフィ

脳の血流を測定する検査で、脳血管障害などでは脳内の血流を、アルツハイマー病に代表される認知症や変性疾患では機能の低下の有無を判定することができます。 脳血流は脳血管の要因のみならず、変性疾患でも低下するため、疾患の鑑別や早期診断に有用です。また、認知症の診断にも用いられ認知症の種類の鑑別や進行度の評価に用いられています。

脳血流シンチグラフィ
脳血流シンチグラフィ
脳血流シンチグラフィ

ダットスキャン

パーキンソン病・レビー小体型認知症では黒質線条体に存在するドパミントランスポーター(DAT)の密度が低下することが知られています。この検査では線条体のDAT分布密度を反映する画像を得ることができます。
正常では、線条体に高い集積を認めますが、機能が低下していくと尾の部分がなくなり丸い形となり、さらに機能が低下すると集積も低下して見えなくなってしまいます。

正常
正常
異常
異常

PET検査

PETは検出器が360°のリング状に検出器が配置され、体内から放出される放射線を様々な角度から検出し画像化しています。SPECT検査と異なり同時に放射線を計測するため、正確に体内の放射能分布を見ることができ病気がある場所を特定することができます。
がん細胞は、増殖し、転移することで広がっていきます。そのエネルギーとなるのがブドウ糖であり、がん細胞は正常の細胞と比べて多くのブドウ糖を取り込むため、FDG検査薬を患者さんに注射することで、がんの部位に検査薬が集まります。
検査薬が集まった部分からは放射線が放出されるため、それを機械で画像化し、病気がどこにあるかを見つけ出すことができます。

PET検査
PET検査

PET検査の注意点

ブドウ糖の代謝を画像化するため、PET検査を受けるうえで注意していただきたい点があります。
検査前6時間の絶食と、ジュースなどの糖分を含む飲み物は飲まないようにお願いします。絶食が不十分な場合や糖分を含む飲み物を摂取してしまうと本来、病気がある部分に検査薬が集まるのですが、食べ物や飲み物に含まれた糖も反映してしまうため、正しく検査を行うことができなくなります。
また、筋肉も運動後にブドウ糖が集まるため、前日に激しい運動をされないようにお願いします。

PET検査の流れ

① 絶食

絶食検査前6時間の絶食と糖分を含む飲み物も摂取しないようにする。

② 問診・更衣

問診表を確認し、最終の食事時間を確認し絶食されていることを確認します。確認が取れたらPET-CT検査用の検査着に更衣していただきます。

③ 注射

注射自動投与装置を使って、静脈に検査薬(FDG)を注射します。

④ 安静

検査薬を注射後、全身に検査薬が行きわたるまで待機室にて1時間休んでいただきます。

⑤ 検査

検査直前にトイレにいっていただきます。(検査薬は尿中から排泄されますので、直前に行っていただくことで、下腹部の画像が鮮明となり、また尿中排泄することで余分な被ばくを防ぐこともできます。)
検査台に仰臥位で寝ていただき、約20分かけて全身を撮影します。
検査

⑥ 検査後

撮影した画像の確認を行うため約20分回復室で待機していただき、追加の撮影がなければ帰宅となります。

アミロイドPET

日本核医学会による「アミロイドPET撮像施設認証」を取得し、当院では2024年7月5日よりアミロイドPET検査を開始いたしました。

認知症の原因疾患のうち一番多いのがアルツハイマー病と言われています。
このアルツハイマー病は脳内にアミロイドβとよばれる異常蛋白が脳内に蓄積することが原因だということが分かってきました。アミロイドβは発症の10年以上前から脳内に蓄積をはじめ、それが正常な神経細胞の損傷を引き起こすことで発症へとつながるといわれています。
アミロイドPET検査では、このアミロイドβの脳内への蓄積具合を可視化する検査となります。アミロイドβの脳内への蓄積の有無を調べることで、認知症の予防や治療方針の選択に役立つと考えられています。

陽性画像
陽性画像
陰性画像
陰性画像

当院の核医学検査装置

核医学検査装置
SPECT/CT
Optima NM/CT 640 (GE Healthcare)
核医学検査装置
PET/CT
BIOGRAPH Vision 450 (SIEMENS)