肺がんの早期発見から治療まで

呼吸器内科

喫煙をやめて、検診で早期発見!

肺がんには、肺門型(中心型)と肺野型(末梢型)があります。肺門型は太い気管支にできるがんで咳、痰、血痰の症状が出やすく、これらの症状が継続する場合、ぜひクリニックを受診しましょう。他の症状として嗄声(させい:縦隔という部位のリンパ節への転移により声がかすれる)、胸痛、呼吸困難、頚部のリンパ節腫脹があります。肺野型の場合は、がんが肺の奥にあるため無症状の場合が多く、検診やドッグの胸部レントゲンで初めて指摘されびっくりすることが多いです。40歳以上であれば、年1回の検診やドックで積極的に胸部レントゲンを撮影することが早期発見につながります。役所、医療機関、職場で相談してみてください。広島県では肺がん検診で受診率は18%と低く発見率は0.05%です。症状の早期で見つかり手術で治癒される方も多いです。

喫煙があれば、肺がんになる危険性は吸わない場合の7倍高まり、さらに強く意識して検診を利用されることをお勧めします。喫煙は、喉頭がん、膵臓がん、心筋梗塞、肺気腫も引き起こします。医学的には身体には悪い影響がほとんどで、禁煙外来を利用してきっぱりやめましょう。

精密検査と治療方法

精密検査は、CTによる断層写真やPETがあります。CTで腫瘤陰影が5-10mm前後であれば、経過を追わせていただくことがあります。PETはがんの広がりや転移部位の検索に威力を発揮しますが、当院で実施可能です。がんの居場所が明らかになると、次に確定診断が必要です。痰の細胞を顕微鏡でみる喀痰細胞診、気管支鏡による生検、CTガイド下生検などです。当院の気管支鏡検査は超音波、ナビゲーションシステムを利用した最新鋭の設備であり、診断技術も非常に高いです。

治療は、手術、放射線、薬物療法がありますが、いずれも発展しています。薬物では、抗がん剤、分子標的薬に、つい最近は、免疫療法の薬(ニボルマブ)も保険適応になりました。免疫療法は、ご自分の免疫力を高めがん細胞をやっつける治療で、効果のでる方の率は抗がん剤と同様に20%程度です。効果のある方は、長期間がんが大きくならず、生存期間を延長します。しかし、頻度は低いのですが、下痢、甲状腺機能低下症、Ⅰ型糖尿病など、特徴的な副作用があります。非小細胞型の肺がんが対象ですが、高額医療申請が必要です。

当院は肺がん患者さんに標準的治療を基本としつつ、最新最良の医療を提供することを意識しながらこれからも邁進いたします。

(腫瘍内科主任部長・呼吸器内科部長 北口 聡一)