言語療法部門について

リハビリテーション科

入院リハビリテーション

脳血管疾患で生じる失語症、嚥下障害、構音障害、高次脳機能障害を中心に急性期リハビリテーションを行っています。

近年は嚥下リハビリテーションに力をいれております。脳卒中ガイドラインによると急性期には約7割の患者に嚥下障害が生じるとされています。また、高齢化に伴い、脳卒中患者以外にも誤嚥性肺炎での入院が増えており、嚥下障害への対応がますます重要になっています。当院では嚥下障害患者に対し、嚥下機能評価法として最も信頼性の高い嚥下造影検査(VF)を積極的に行っています。入院患者においては栄養摂取方法や食形態が退院や転院先の決定にも大きく影響するため、適切に嚥下機能を評価することが必要不可欠です。

当院の2022年度年間VF件数は1887件で国内では第1位となっています。また、放射線診療部、看護部協力のもと2005年度よりVFによる早期評価に取り組み、嚥下リハ処方から初回VFまでの平均日数は1.2日(2020年度)と非常に短くなっています。さらに、急性期には嚥下機能が短期間で変化するため、必要に応じて1週間程度の短い間隔で再検査を実施し、食事の中止、再開、食形態の変更を行っています。VFによる早期評価とチーム医療による適切なリハビリテーションによって「経口摂取の安全な開始と継続」と「病後の誤嚥性肺炎0(ゼロ)」を目指しています。

※日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士資格取得者1名

外来リハビリテーション

入院患者の退院後のフォローや小児の言語障害(発達障害、器質性・機能性構音障害)、パーキンソン病などの神経変性疾患に対する治療など外来リハビリテーションにも力をいれています。

小児言語療法

1992年より小児言語障害の言語療法を実施しています。主な対象は以下の通りです。

  • 発達障害(知的障害、自閉症、アスペルガー症候群、ADHD、LD等)
  • 機能性構音障害(発語器官に構造的な問題がない)
  • 器質性構音障害(口唇裂口蓋裂等のように発語器官に構造的な問題がある)

※完全予約診療ですので、初診を希望される場合は事前に082-815-5211(内線3040言語聴覚士(技師長):木戸直博 内線3055言語聴覚士:河村迅)までご連絡ください。

発達障害

各種発達検査、心理検査結果に基づいて、個々の状態に応じたリハビリテーションや支援を行っています。机上での訓練(学習、発話、認知)から当院体育館を使ったダイナミックな活動、クッキング療育など子どもさんの状態に合わせて柔軟に対応できるプログラムを用意しています。現在、幼児期から青年期までの方々が通院されています。保健機関や教育機関との連携を取ることも可能です。
※関連資格:自閉症スペクトラム支援士資格取得者2名

機能性構音障害

早期発見、適時適指導が重要です。治療期間は、状態によって異なりますが約1ヶ月から2年程度です。これまでの当科の治療成績は、幼児期(3〜4歳頃)から治療を開始した場合、ほぼ100%の正常構音獲得率を得ています。治療間隔は1〜2週間に1回程度から開始し、徐々に開けていきます。

安芸太田町や北広島町においては当科言語聴覚士による「ことばときこえの相談会」が定期的に開かれており、広島市内だけでなく県北部地域との連携も図っています。

器質性構音障害(口唇裂口蓋裂)

口唇裂口蓋裂の治療は出生後早期から青年・成人期までの長期に及びます。この間、形成外科医、耳鼻科医、歯科口腔外科医・矯正歯科医、小児科医、言語聴覚士等によるチームアプローチが欠かせません。当科は、広島市民病院や専門の矯正歯科医と綿密な連携を取りながら治療をすすめています。
 詳しくは「広島口唇裂口蓋裂研究会」(http://hiroshima-kougairetsu.org/)をご覧下さい

成人患者の外来言語療法(脳卒中後遺症、パーキンソン病などの神経変性疾患)

リハビリテーションが必要であると主治医が判断した場合に行っています。