婦人科(手術・治療)

産婦人科

良性疾患として、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、子宮脱などの管理、手術を行っています。手術においては積極的に腹腔鏡手術を取り入れており、手術侵襲が少なく、術後回復が早いことが特徴です。妊孕性温存手術も行っています。

悪性疾患としては、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんを中心とした女性性器がんや妊娠に関連した絨毛性疾患などを扱っています。

当院は日本産科婦人科学会、日本婦人科腫瘍学会、日本産科婦人科内視鏡学会の研修指定病院であり、また、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医1名、内視鏡技術認定医1名が在籍し、婦人科悪性腫瘍の診断から治療に至るまで、あらゆる面で充実した診療を提供しています。悪性腫瘍に対する手術は基本的には開腹手術が行われますが、早期子宮体がんに対しては腹腔鏡下手術も行っております。

また、婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構(JGOG)に加盟し、全国規模での多施設臨床試験に積極的に参加しています。標準治療の徹底と新しい治療法を確立するための臨床試験への参加をモットーに患者様と向き合っています。

腹腔鏡手術

当院での腹腔鏡手術は、主として気腹法を用いた体腔内術式です。良性卵巣腫瘍や良性子宮疾患などに対しては可能であれば腹腔鏡下手術を行います。悪性が疑われる腫瘍の場合には最初から開腹手術となりますが、早期の子宮体がんに対しては腹腔鏡下手術も可能になりました。腹腔鏡手術では開腹手術に比べて入院期間が約3日間短くなります。

ロボット支援手術

子宮筋腫などの子宮良性疾患と、早期子宮体がんに対してはロボット支援腹腔鏡下手術も行っております。腹腔鏡手術と同等またはそれ以上の侵襲の少ない手術が可能になりました。今のところ手術料金、入院期間は腹腔鏡手術と同じです。

各種疾患への対応

子宮筋腫

開腹による子宮全摘術や子宮筋腫核出術の他に、内視鏡下手術としては、子宮全摘術では全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)、腹腔鏡下膣式子宮全摘術(LAVH)、ロボット支援腹腔鏡下膣式子宮全摘術(RASH)を施行しています。
子宮温存手術としては全腹腔鏡下子宮筋腫摘出術(LM)、腹腔鏡補助下子宮筋腫摘出術(LAM)、子宮鏡下子宮筋腫摘出術(TCR―M)などを施行しています。

卵巣嚢腫

卵巣嚢腫は悪性の疑いがなければ、基本的に腹腔鏡下にて手術します。

子宮内膜症性嚢胞では、手術時にすでに強い癒着を伴っていたり、術後に再発することもあり、手術前手術後の薬物療法を組み合わせ、治療を施行しています。

子宮脱

基本的に手術をお勧めしています。腟から子宮を摘出し、腟壁を形成する手術を主に行っています。

更年期障害・ホルモン補充療法

当科で子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの治療を行った方に対して必要に応じて行っています。

子宮頸がん

前がん状態である高度異形成や上皮内がん、子宮頸がんIA1期までの一部の症例では子宮頸部円錐切除術やレーザー蒸散術により、子宮の温存が可能です。
浸潤がんでは広汎子宮全摘術、骨盤リンパ節郭清による根治手術、術後補助治療を行います。
浸潤が軽度であれば準広汎子宮全摘術や自律神経温存広汎子宮全摘出手術など副作用の小さな手術を目指します。
手術不能な進行症例では、同時化学放射線治療(CCRT)を行って根治を目指します。

子宮体がん

基本的には手術療法を行います。子宮全摘術、両側卵巣・卵管摘出、骨盤リンパ節郭清、傍大動脈リンパ節生検、腹腔内細胞診を行い、進行期を決定します。

術前の病理組織検査、MRI等で、がんの拡がりが大きい場合や低分化ながんが疑われる場合には、準広汎子宮全摘術や、傍大動脈リンパ節郭清まで行います。逆に早期の高分化な子宮体がんに対しては腹腔鏡下手術(ロボット支援手術を含む)を行います。

また、「子宮体がん治療ガイドライン」に基づいて、再発の中〜高リスク群に相当する場合には、抗がん剤治療を追加して根治を目指します。

卵巣がん

子宮体がん同様、基本的には手術療法を行い、進行期を決定します。

手術は、単純子宮全摘術、両側卵巣・卵管摘出、骨盤リンパ節郭清、傍大動脈リンパ節生検、大網切除、腹腔内精査を行います。
しかしながら、卵巣がんは進行症例が多く、手術で完全摘出できないことも多々ありますので、抗がん剤治療と組み合わせて上手く治療を進めていくことが大切です。「卵巣がん治療ガイドライン」に基づいてTC(パクリタキセル・カルボプラチン)療法を中心に種々の抗がん剤治療を行っています。

再発がん

がんの治療成績は向上してきましたが、残念ながら再発する患者様がいらっしゃるのも事実です。再発した場合も、その時点ですべき必要な治療や対応を積極的に行っています。根治を目指すことが最大の目標ですが、病状によってはがんの進行を抑えること、症状を緩和することが目標となる場合もあります。
きちんとした病状の把握、全身状態を考えた上で、体にあった無理のない治療方針を計画します。

セカンドオピニオン

当院での治療方針に納得のいかない場合などには、状況に応じてセカンドオピニオンを受けていただくことも可能です。ご希望があれば、当院での検査結果を含めて紹介状(診療情報提供書)を作成しますので、遠慮なくお申し出下さい。当院、もしくは他院であっても、十分に納得された上で治療を受けていただくことが大切であると考えています。