肝・胆・膵領域
1 特色
当科では入院患者様の病態について週1回カンファレンスを行い、診断および治療を行っています。肝胆膵領域の腫瘍については消化器内科、外科、放射線科、病理診断科と肝胆膵合同カンファレンスを行い治療方針の決定や術後のフォローを行っております。
日本肝臓学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会の認定施設であり、日本肝癌研究会の施設会員です。
肝臓領域
主な対象疾患
肝炎ウイルスキャリア、肝機能異常、各種急性・慢性肝炎および肝硬変、肝腫瘍、肝がん
診療の特色
慢性肝炎からの進展防止のため、C型肝炎については宿主因子(IL28Bの遺伝子)やウイルス学的因子(コアやISDR領域)を参考にしたインターフェロン療法を数多く行っています。
肝癌に対する肝動脈化学塞栓術等のインターベンション治療については放射線科と合同で行い、通常のエコーで見えにくい腫瘍も炭酸ガス動注下エコーにより確認しています。自己免疫性肝疾患の境界病変等診断が難しい疾患は腹腔鏡検査により診断しています。
静脈瘤破裂や肝性脳症には24時間体制で緊急治療に対応しています。
かかりつけ医とは肝炎・肝癌地域連携パス研究会ならびにキャンサーネットにおいて勉強会を行い、病診間・病々間連携を行い肝臓病診療を充実させています。
また、広島スタディグループのメンバーとして広島大学消化器代謝内科と協力して治療や臨床研究を行っています。患者様やご家族へ肝疾患についての情報提供や相談に応えるために、「ASA肝臓チーム」による肝臓病教室を2カ月に1回開催しています。
胆・膵領域
主な対象疾患
膵がん・胆道がん・のう胞性膵疾患・胆管結石・胆のう結石・胆のう炎・膵炎・肝膿瘍
診療の特色
難治がんの代表とされる膵がん・胆道がんを多く診療し、精度の高い画像診断を行っています。手術可能例については迅速に外科に紹介し、不能例については生活の質(Qualit of life)を重視した治療として外来化学療法を積極的に行っています。
また、高齢化に伴い胆管結石、胆管炎で救急受診される患者様が増えていますが、内視鏡的胆道ドレナージや内視鏡的結石除去といった内視鏡治療も数多く行っております。
診療内容
肝臓領域
C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法、B型慢性肝炎に対するインターフェロン療法・核酸アナログによる治療、肝硬変に対して進行や発癌防止の治療、症状緩和や栄養療法食道胃静脈瘤の待機的治療や破裂時の止血、肝細胞がんについて血液検査と画像を用いた早期発見
肝細胞がんに対する治療
ラジオ波凝固療法(RFA)、エタノール注入療法(PEIT)、肝動脈化学塞栓術(TACE)、動注化学療法(HAIC)
その他の肝疾患
急性肝炎、脂肪肝、脂肪性肝炎、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、薬物性肝障害等に対する診断および治療
胆膵領域
検査 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)、超音波内視鏡(EUS)、管腔内超音波(IDUS)
治療
内視鏡的乳頭切開術/バルーン拡張術(EST/EPBD)、内視鏡的胆道結石除去術、 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)、内視鏡的逆行性胆道内瘻術(ERBD)、 内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)、経皮経肝胆管ドレナージ術(PTCD)、 経皮経肝胆道内瘻術(PTBE)、経皮経肝胆嚢穿刺吸引/ドレナージ術(PTGBA/PTGBD) 膵癌・胆道癌に対する外来化学療法
肝胆膵領域治療件数

当科では上記治療において積極的にクリニカルパスを導入することで診療レベルの均質化や入院期間の短縮にも努めています。
2 肝胆膵合同カンファレンス
肝胆膵領域の腫瘍については消化器内科、外科、放射線科、病理部の医師が合同カンファレンスを行い、診断や治療方針を決めています。

3 ラジオ波凝固療法
経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)

肝がんに刺した針の先端からラジオ波を出し誘電加熱することにより、がんを壊死させることができます。1回12分で直径3cmの焼灼が可能です。
食道胃静脈瘤の待機的治療や破裂時の止血、 肝硬変に伴う静脈瘤破裂には24時間体制で対応し、内視鏡的または経カテーテル的血管塞栓術による止血を行っています。

4 肝動脈化学塞栓術
肝動脈化学塞栓術(TACE)は放射線科と消化器内科の医師が合同で行っています。

5 炭酸ガス動注下エコー
通常の腹部エコーでは見えにくい肝がんもソナゾイド造影エコーや血管造影時に炭酸ガス動注下エコーにて確認しています。

6 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)
内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)、 内視鏡的にドレナージチューブを挿入し、閉塞性黄疸の軽減を図っています。
