顎骨壊死、顎骨骨髄炎

歯科・口腔外科

口腔内細菌の感染に起因する炎症が顎の骨まで広がります。う蝕、歯周病、抜歯、義歯の傷などがきっかけとなることがあります。顎骨壊死や顎骨骨髄炎を発症する多くの場合、感染を引き起こしやすい以下のような要因があります。

① 糖尿病やステロイド治療の長期投与に起因する免疫力低下

② 多発性骨髄腫などの血液の悪性腫瘍、乳癌や前立腺癌などの悪性腫瘍の骨転移、骨粗鬆症に対する骨吸収抑制剤(ビスフォスフォネート、デノスマブ等)の投与歴。さらに抜歯処置等の顎の骨に影響する処置を経験している。

③ 頭頚部領域の放射線治療歴(照射野が顎骨に及んでいる場合、骨の血流低下で生じることがある)

などが挙げられます。

症状

歯肉の腫れ・痛み、出血、膿が出てくることがあります。徐々に傷口が広がるように骨がむき出しの状態になります。歯肉や下唇、顎にかけて神経痛や神経麻痺などを生じることもあります。骨の吸収が進行すると顎の骨が細くなり、転倒などで骨折しやすくなります。

治療

まずは局所洗浄、抗菌薬・抗炎症薬の投与により急性症状の改善をはかります。腐骨除去(健康でない骨を取り除いて掃除する)を行うことで治癒することが多いですが、広範囲に顎骨が壊死してしまったような難治例は、顎骨の部分切除や切断を行い、金属プレートで再建が必要なこともあります。また、抗菌薬の動脈内注射や高圧酸素療法が行われることもあります。