悪性腫瘍

歯科・口腔外科

悪性腫瘍は上皮性の癌腫と非上皮性の肉腫に分けられます。口腔領域ではほとんどは癌腫であり、口腔がんの90%以上は病理組織学的に粘膜の上皮から発生する扁平上皮癌です。その他は小唾液腺に由来する腺系癌や肉腫、悪性リンパ腫、転移性癌などです。口腔がん部位によって舌がん、口底がん、歯肉がん、頬粘膜がん、口唇がん、口蓋がんなどに分けられます。なかでも舌がんの発生頻度が最も高く、口腔がんの約40%を占めます。喫煙と飲酒は口腔がんの発症リスクを高め、う蝕や不適合な義歯などによる慢性刺激も原因として疑われています。前がん病変である白板症から生じたと思われるものもみられます。

舌がん
口底がん
下顎歯肉がん
頬粘膜がん
悪性黒色腫
悪性リンパ腫

症状

50歳以上の男性に好発し、発生する部位や病期により症状は様々です。初期の口腔がんでは痛みや出血はなく、白または赤い病変として認められ、がんの表面の特徴から白く隆起した白斑型、ぶつぶつした肉芽型、盛り上がった腫瘤型、えぐれた潰瘍型、粘膜が剥がれたようなびらん型などに分けられています。しこりがあり、出血や痛み、悪臭を伴います。病期が進むにつれて咀嚼や嚥下、発音障害、開口障害が生じます。リンパの流れに沿って顎下、頸部のリンパ節に転移し、リンパ節が腫れたりします。さらに進行すると肺、骨、肝臓など他の臓器に転移し、全身的な症状を起こすようになります。

治療

一般的には手術療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つの方法を、単独あるいは組み合わせて治療します。頸部のリンパ節転移があれば頸部郭清術、また原発巣の切除範囲が大きい場合には他部位からの組織を移植する再建術も行われます。治癒率はがんの発生した部位や病期で異なりますが、初期のものではほとんどの症例が治癒し、口腔がん全体の5年生存率は60~70%です。