弁膜症・不整脈手術

心臓血管外科

当院の弁膜症、不整脈手術の特徴

弁膜症治療に於いては人工物をなるべく使用しない、術後抗凝固療法の必要ない治療を積極的に行っています。

心臓弁膜症のうち近年増加傾向にある僧帽弁閉鎖不全症の患者様には可能な限り自己弁を温存した術式(弁形成術)を選択する様にしており最近では全僧帽弁疾患の90%以上に僧帽弁形成術を施行しております。心房細動合併例では不整脈手術も併施しさらに脳梗塞の原因となる左心耳を切除して術後に抗凝固療法が必要ないようにしています。僧帽弁手術においては6~7cmの小さな傷で行う術式低侵襲心臓外科手術(Minimally Invasive Cardiac Surgery: MICS: ミックス)積極的に取り組んでおります。小さな傷で骨を切らないため患者さんの身体への負担は大幅に軽減されます。このため約2週間での退院が可能で、早期社会復帰ができるため若年で就労中の患者様や大きな傷を好まれない女性に適した術式です。ハイブリッド手術室の稼働に伴い僧帽弁閉鎖不全症のカテーテル治療も開始を検討しております。

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大動脈弁疾患に対する従来の手術法は、大動脈弁を人工弁(機械弁あるいは生体弁)に置換する術式が標準となっていますが、耐久性や術後生涯にわたり抗凝固剤を服薬する必要があること等の問題点があります。特に若年者において、機械弁置換後の術後生涯にわたる抗凝固剤服薬はその後の人生の中での出血イベント発生時の出血リスクを高める事になり就労制限なども必要となります。人工弁を使用しない手術を行うことで抗凝固剤内服を回避できればその人の人生の選択枝が広がります。当院では、特に若年者に対して人工弁置換の選択ではなく抗凝固剤内服が不要な術式を治療検討しております。AVneo (Aortic Valve Neo-Cuspidization)は自己心膜によって大動脈弁を作る術式で異物を全く使用せず術後抗凝固剤内服が不要な術式です。2007年より本邦で開始されており良好な治療成績が報告されています。この大動脈弁再建術を行う病院は日本ではまだ少ないですが、患者様にメリットの多い術式のため当院では積極的に取り組んでおり多くの患者様にこの手術を受けて頂いております。(中四国で最大の症例数です)。

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最近TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)が日本にも導入されましたが弁の寿命が10年程度と短いため現状の適応は手術に耐えられないと判断された高齢の患者様に限定されています。ただ開胸手術が困難な高齢の方や合併症を有する方でも治療が可能な術式のため、今後増加が予想される高齢者の患者様にとっては福音であり、当院でも新病院への移転後から治療開始予定です。

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