カテーテルアブレーション治療

循環器内科

頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療について

不整脈とは、一般的には脈がバラバラになった状態を思い浮かべますが、医学的には正常洞調律(正常な場所から、正常のスピードで、規則正しく心臓を動かすための指令が出て、その指令がきちんと心筋に伝わっていること)以外の状態をすべて不整脈と呼びます。
つまり不整脈疾患の中には、かなり多くの疾患が含まれているということです。
不整脈疾患は大きく分けて二種類に分類されます。通常より早いスピードになるタイプは頻脈性不整脈、通常より遅いスピードになるタイプは徐脈性不整脈と呼びます。
このうち頻脈性不整脈に対しては、カテーテルを用いた手術が効果的な場合があり、これをカテーテルアブレーション(カテーテル心筋焼灼術)と呼んでいます。焼灼という名前が付いていますが、実際にカテーテルの先端から熱を出して心筋の一部を焼灼することで治療するため、このような名前がついています。

ただし、ひとことでカテーテルアブレーションと言っても、頻脈性不整脈には様々な不整脈疾患が含まれており、それぞれで方法や成功率、手術時間などが異なります。
例えば頻脈性不整脈疾患の一つである発作性上室性頻拍に対するカテーテルアブレーションは、発作の原因となる異常な回路または起源を焼灼するという方法です。一般的に90%以上の高い根治率であり、平均手術時間も2時間以内となっています。
また別の頻脈性不整脈疾患の一つである発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションは、発作の最初のきっかけとなる期外収縮を抑制するために焼灼ラインを引くという方法です。
このため根治率は最大でも80%未満であり、平均手術時間も現時点では4時間以上となっています。
ただし、発作性心房細動に効果的な薬物療法は確立されているとは言いがたく、最近ではカテーテルアブレーションを選択される患者さんも増えてきています。

当院では、2013年6月よりこのカテーテルアブレーションを開始させていただきました。
当初、当院には心内心電図の解析装置や、実際に心筋焼灼する機器も無かったため、これらの機器をレンタルして行っておりましたが、現在は多幾山院長、土手副院長のご支援もあり、これらの機器を購入していただきました。
2015年10月までに60例以上の患者さんを治療させていただきましたが、幸いなことに大きな合併症などを認めず、高い成功率を維持しております。

不整脈疾患でお困りの患者さんがおられれば、いつでも当院へご相談いただければ幸いです。カテーテルアブレーションの適応評価のみならず、個々の患者さんそれぞれに最適な治療方針を模索していこうと思っております。何卒、よろしくお願い申し上げます。

(循環器内科部長 小田登)
日本不整脈心電学会認定 不整脈専門医