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肝・胆・膵《がん治療の現状》

肝・胆・膵のがん治療の現況について

高難度手術に関する問題や、著名人の罹患などで話題となっている肝胆膵領域癌について、最近の同領域癌に対する外科治療に関して少し述べてみます。

原発性肝がん

原発性肝がん(主に肝細胞癌)ですが、日本肝癌研究会による原発性肝癌追跡調査報告によると、様々な治療法の中で手術(肝切除)が全体の約3分の1を占めています。肝細胞癌の背景疾患としてこれまでウイルス性肝炎が約8割を占めていましたが、近年 非BC型(いわゆるウイルス性肝炎以外による肝障害)なかでも非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関連する症例が増加傾向にあります。これらは生活習慣病(メタボリック症候群)などとの関連性が報告されており、高血圧・糖尿病などを併存し、BMI高値の症例が多くみられます。また、転移性肝がん(その多くは大腸癌肝転移)では、適応症例であれば化学療法とともに手術(肝切除)を介入することで、約4割近い症例に根治を期待することができるようになりました。

当科における肝切除は、CUSA(超音波破砕吸引装置)による肝切離と水滴下式バイポーラによる焼灼止血の手技を用いています。術前の各種画像検査(CT MRIPETなど)と肝予備能評価(ICG試験、アシアロシンチ)、術前画像シミュレーションによる肝切除範囲の詳細な検討により、合併症を軽減するよう努めています。

膵癌・胆道癌

次に膵癌・胆道癌ですが、この領域は消化器癌の中でも難治性癌として知られています。膵癌・胆道癌は自覚症状に乏しく早期発見が困難な癌と言われ、膵癌では切除可能症例が全体の2割にも満たない状況です。近年、化学療法の発展は見られるものの、いまだ予後の顕著な改善に至っていません。また、膵癌においては術前化学療法の導入による予後改善効果が最近期待されています。今後の臨床試験の結果が注目されると思います。

手術については、膵癌は膵切除(膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除など)、胆道癌は胆道再建を伴う肝切除、膵頭十二指腸切除などを主に行います。同領域も消化器内科での詳細な検査(超音波内視鏡(EUS)、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP,管腔内超音波検査(IDUS))などにより、各種画像検査と併せて腫瘍進展範囲の確認を行っており、手術術式・切除範囲を慎重に決定しています。

肝・膵の切除手術

肝切除、膵切除はその術式の多くが高難度肝胆膵手術に分類されています。これらの手術は、術後合併症を来たした場合、生命の危機に直面することもあり、慎重かつ正確な手技が要求されます。2011年より日本外科学会でNCD(National Clinical Database)制度が導入され、全国の全ての外科手術が登録制となりました。高難度肝胆膵手術においては、さらに詳細なデータが日本肝胆膵外科学会により毎年監査されています。安心して手術を受けていただける時代になったと言われる現在でも、NCDデータによると肝切除・膵頭十二指腸切除術の在院死亡率がそれぞれ3.0%1.7%と報告されています。過去5年間の症例で幸い当科はその数値が報告値より下回っており、今後も同様の成績で安全な手術を行えるように努めたいと思っています。

さらに、日本肝胆膵外科学会では2011年より高度技能専門医制度が発足し、高難度手術の経験と実際の手術手技のビデオ審査でその合否が決められるようになりました。

当科には私を含めた3人のスタッフ(肝胆膵グループ)皆が高度技能専門医を取得しており、様々な肝胆膵手術での治療を提供できると考えております。

(消化器外科主任部長 小橋俊彦)

 

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