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9)膀胱尿管逆流症

膀胱尿管逆流症(VUR: Vesicoureteral reflux)

腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に貯められますが、尿管と膀胱のつなぎ目(接合部)の異常のため膀胱に貯まった尿が再び尿管さらには腎臓に逆戻りする現象を膀胱尿管逆流症と呼びます。乳児では100人に1人ぐらいの頻度で認められます。1才以下では男の子で多く見つかりますが、それ以上の年齢になると女性に多く見つかります。正常では排尿するときにはこのつなぎ目が閉じて、膀胱の出口(尿道)からだけ尿が出ます。膀胱尿管逆流症ではこのつなぎ目が閉じきれず、尿管のほうへ逆流します。このため排尿時膀胱造影の検査で膀胱尿管逆流が見つかれば病的と考えられています。

 

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膀胱尿管逆流症の発見のきっかけでは最も多いのは尿路感染症と言って尿の通り道や腎臓に細菌が入り込んで起きる症状で、腎臓に細菌感染が起これば高熱や側腹部・背部痛が見られます(急性腎盂腎炎)。尿路感染症以外には排尿異常などの検査の途中で逆流症が見つかることもあります。また、検尿で蛋白尿を指摘され精査を加えるとすでに進行した腎障害を伴う逆流症が発見されることもあります。最近では妊娠中に産科で行われる超音波検査や、新生児・乳児に対する超音波検査で腎臓の腫れ(水腎症)が見つけられ、その後の検査で本疾患と診断がつけられることもあります。

膀胱尿管逆流症による長期的な合併症には逆流のために腎機能が低下し無機能になったり、両側に膀胱尿管逆流症がある場合には腎不全に陥ることがあります。

小児期に発見された軽度の膀胱尿管逆流症は成長と共にその多くは自然に軽快します。ただし、思春期以降になるとほとんど自然消失しないと考えられています。小児の場合、腎盂腎炎を繰りかえさなければ自然消失を期待し、治療の第一段階は抗菌薬を一日一回少量だけ、毎日飲み続けて自然消失を目指す保存的な治療法が中心になります。この方法は予防投与法と呼ばれ、薬に対してアレルギーなどの特異体質がなければ安全な方法と考えられています。予防投与法をしている期間に、再び細菌がはいって腎盂腎炎を起こすような場合、1年、2年と自然消失を待っていても変わらない重度の逆流を有す場合、逆流が見つかった時すでに腎臓に明らかな瘢痕がある場合には手術(逆流防止術)の適応となります。

手術の原理は排尿時に膀胱の尿が尿管へ逆流しないように尿管の下端を膀胱の壁の中に埋め替える手術を行います。膀胱の内側から尿管のつなぎ目をはずして膀胱の壁の中に尿管の通るトンネルを作るように尿管を埋め込みます。

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逆流防止術の一般的な成功率は約90〜95%とされていますが、逆流の程度が強い場合や膀胱機能に異常があるような場合は、成功率が低下します。これまでこの逆流防止術は開腹手術が一般的に行われていました。開腹手術では術後の膀胱刺激症状が強く入院期間も長くなるのが欠点でしたが、当科では開腹手術ではなくこれらをすべて腹腔鏡下に行う腹腔鏡下膀胱内手術を施行しています。腹腔鏡下膀胱内手術は従来の開腹手術に比較して術後の刺激が少なく、また体に対する負担も少ないので入院期間も短く、傷も小さく目立たないことが特徴です。

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