診療科案内

脊椎脊髄疾患

2017年度の脊椎脊髄手術822例のほぼ全てを3台の顕微鏡で行っております。

顕微鏡についてもう少し詳しく述べますと、図1に示しますように対面式の双眼顕微鏡がアー
ムで吊り下げられたような構造を
しております。

実験室などで使う顕微鏡との違いは、接眼鏡が両側についていることと、内部に光源を内蔵ていて術野を明るく照らすことが出来ることです。

従って、手術用顕微鏡の利点は手術視野を10倍以上に立体的に拡大可能であることはもちろんですが、狭い術野でも非常に明るいことと術者と助手が同じ視野で手術可能であることも大きな利点です(図2)。

それによって、小切開でも安全確実な手術が可能となっております。

脊椎手術

 2017年に手術を施行した主な脊椎疾患の一覧を示します。

頚椎

頚椎症性脊髄症(161)
頚椎症性神経根症(16例)
頚椎椎間板ヘルニア(13)
頚椎後縦靭帯骨化症(29)

胸椎

胸椎黄色靭帯骨化症(10)

腰椎

腰部脊柱管狭窄症(331)
腰椎椎間板ヘルニア(114)
腰椎変性すべり症(89)
腰椎分離・すべり症(15)
腰椎外側神経根症(12)

脊椎疾患の中でもっとも多いのは、脊柱菅狭窄症や椎間板ヘルニアのように、加齢と共に起こってくる疾患です。骨棘や椎間板ヘルニアが脊髄神経根を圧迫して手足のしびれ痛みや麻痺を生じると手術が必要になります。

狭窄症やすべり症などに対する脊椎手術を大きく分けると、脊椎の前方から手術する方法と後方から手術する方法に分けられます。さらに、神経を除圧する除圧術と、骨にネジを入れるなどして椎間を固定する固定術に分けられます。同じ疾患に対して施設ごとにかなり異なる治療法が選択されているのが現状です。

術式の優劣というのは単純ではありませんが、安全性という観点から見ると、前方手術では重篤な内臓・大血管損傷の危険性がありますし、固定術では手術時間や術中出血量が多い上にスクリューによる血管神経損傷などの危険性もありますので、後方除圧術が最も安全であることは言うまでもありません。

このため我々は開設以来一貫して、顕微鏡視下後方除圧術を第1選択としてきました。そして、脊髄前方に病変が位置する疾患(頚椎椎間板ヘルニア、歯突起後方腫瘤など)や不安定性を伴う疾患(すべり症など)など、通常前方法や固定術が選択されることの多い疾患でも顕微鏡を用いて様々な手術手技の工夫を重ねてきました。その結果変性疾患に対して、現在99% の手術は、図36に示すような顕微鏡視下後方除圧術で行っております。

 

脊椎疾患は年齢が上がるほど症状が進行してきます。高齢で手術が出来るかどうか心配される患者さんも少なくありませんが、顕微鏡手術は侵襲が小さく合併症が少ないため、通常手術翌日より歩行可能で、数日で退院可能です。80歳以上の患者さんも大勢手術をしています(2017 822例中13817%)。

中には、外傷や高度の不安定性などがあってどうしても顕微鏡手術だけでは対応できず固定術を施行することもありますが、その際も経皮的椎体形成術や経皮的椎弓根スクリュー固定など出来るだけ低侵襲な方法を行っております。また、広島県では導入施設がまだ少ない移動式3次元CTを用いたコンピュータナビゲーションシステムも備えており、固定が必要な患者さんにも安全で低侵襲な手術を心がけております。

脊髄手術

脊髄腫瘍は比較的稀な疾患であり、治療の難しい疾患の一つです。当科では脊髄腫瘍も積極的に治療していきました。2017年末までに治療した脊髄腫瘍は591例あり、特に治療の難しい髄内腫瘍も151例治療しており、中四国では最多の手術件数だと思います。

脊髄腫瘍の手術の際に問題となるのは術後麻痺の危険性です。脊髄の外に腫瘍が存在する髄外腫瘍は比較的容易ですが、髄内腫瘍(図7)では脊髄そのものを切開する必要があるため麻痺を起こさずに腫瘍を摘出するには細心の注意が必要です。

そのためには手術用顕微鏡手術に習熟していることは勿論ですが、術中に神経損傷の有無を確認するための術中脊髄機能モニタリング(図8)に習熟していることも不可欠です。当院は日本脊椎脊髄病学会の術中脊髄モニタリング研修病院の一つです。

脊髄腫瘍の手術の際には、術中脊髄モニタリングを始め、術中超音波、ナビゲーションなど様々な情報を参照しながら慎重に手術を進める必要があります。今回センター開設と同時に導入した最新型の顕微鏡(図1)では高性能視野内表示装置を備えており、術者は顕微鏡から目を話すこと無く様々な情報を確認しつつ手術することが可能です。

脊髄腫瘍摘出術の理想は全摘出であることは言うまでもありませんが、脊髄腫瘍の多くは良性腫瘍であり、全摘出にこだわり過ぎないよう気を付ける必要があります。麻痺を悪化させない範囲で最大限腫瘍を摘出するように努めております。

 教育・研修

先程も述べましたように当科では顕微鏡視下脊椎脊髄手術に関する医師向けの教科書をこれまで刊行しており、英語版も刊行しております。

また、海外からの留学生も多数受け入れております。インドネシア、韓国、中国、ネパールなど様々な国からの留学生がこの5年間で50名以上来られております。

当科を受診された折に彼ら海外からの留学生を見かけることがあるかもしれませんが、暖かく見守って頂ければ幸いです。

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